このカテゴリでは「注文住宅を建ててみたいな」と考え始めた方向けに、ざっくりとした基礎知識を紹介しています。今回は、注文住宅を建てる際に絶対にどこかに決めなくてはならない、建築事務所、ハウスメーカー、工務店について、それぞれどんな特徴があるのかをざっくり説明します。
建築事務所
建築事務所は、建築士さんが構えている事務所です。家を建てるパートナーとして建築事務所を建てる場合のメリットとは、自由度が高く、自分の理想通りの家を納得いくまで追及することができることだと言えます。依頼する建築士さんが今までに手掛けた家を見学させてもらい、外装、内装のテイストや家を建てる時になにを重視しているかなどをきちんと把握して依頼します。基本的には建築士さんが個人でやっているところが多いため、得意/不得意の差が激しく、考えが合わない建築士さんと組むと、理想の実現は困難になるでしょう。建築事務所をパートナーに選ぶ場合には、予算も含めて自分の理想、方向性と合うかどうか、十分なリサーチが必要だと思います。また、とがったコンセプトで建てることが多いので、そういった家を建てたい人には魅力的な選択肢です。
大きなデメリットとしては、費用が一番かかることです。建築事務所を通して工務店と契約し、家を建ててもらうわけですから、単純に考えて建築事務所と工務店、両方への利益分が予算に入ってきます。建築士と家を建てることを選択する人は建物に十分な予算を持っている人が多いのが現状だと思います。
ただし、中にはローコストでも家に対して十分な性能は出せる、という考えの建築士もいます。ローコスト実現のために壁が少なかったり、外壁が選べなかったりなどの制約はでてくるでしょうが、その考え方、コンセプトが自分と合えば、建築士とローコスト（1千万円台）の家づくりをすることも可能です。
ハウスメーカー
ハウスメーカーと工務店の差は混とんとしていますが、基本的には住宅展示場にあるメーカーがハウスメーカーです。また、CMで見るような会社はハウスメーカーだと言えます。
実際に家を建てる時の差として大きいのは、打ち合わせを設計士ではなく担当営業と行うことです。また、多くの場合「標準仕様」が決められており、そこから変更を希望する場合に変更料がかかってきます。ハウスメーカーは、標準仕様の材料や木材を大量購入することでコストダウンを図っているため、それ以外のものを選択する場合には、お金がかかるということみたいです。
ハウスメーカーを選ぶメリットとは、一人の担当がずっとついてくれるため安心感があるこいうこと、担当がきめ細やかにサポートをしてくれること、大手なので建築中に倒産する心配が少ないこと、標準仕様やプランがあるため、選択が容易で、忙しい人でも注文住宅を建てられることです。逆にデメリットは、メリットと反対になりますが、標準仕様があるため自由度が少ないこと、CM等の宣伝費やモデルハウスの維持費なども購入価格に乗ってくるため、工務店に比べ費用が高くなりがちなことです。
工務店
〇〇工務店という名前の大手ハウスメーカーもあり、この差は考えるほどに難しいですが、工務店とハウスメーカーの違いは、地域密着型で比較的小さな会社であることです。
会社の近くに住宅展示場がある場合には、そこにモデルハウスを出していることもまれにありますが、基本的にモデルハウスは事務所併設など、独自の敷地に置いていることが多く、人気工務店などでもモデルハウスがない場合もあります。工務店に関しては規模やテイスト、仕様について会社ごと様々な考え方で家を建てているので、工務店を選択肢にする場合にはかなりの数の工務店を回って自分に合うところを見つける必要があります。
注文住宅を請け負う工務店にはだいたい自社に設計士がおり、その人と打ち合わせを行うことが多いですが、工務店でも担当営業がつくこともあります。担当営業がつく場合でも、打ち合わせには設計士が同席することが多いようです。工務店での家づくりのメリットは、ハウスメーカーに比べて自由度が高いこと。工務店もほぼすべての会社に標準仕様がありますが、これは参考坪単価を出すために作っている、ということが多いようです。ですが、ハウスメーカーと同様コストダウンのために指定しているところもあるようで、その場合にはハウスメーカー同様に変更料がかかる場合があります。
それぞれ違いはあるが、結局はどの会社を選ぶかによる
建築事務所、ハウスメーカー、工務店についての特徴をあげてみました。ですが、何度も言いますがその違いは混とんとしています。建築事務所よりも高額なハウスメーカー、工務店より低額なハウスメーカーもあります。話を聞きに行くのはタダですから、気になるところはすべて回ってみて、自分に合うところで建てるのが一番です。
そのためにもまずは自分がなにを重視した家を建てたいのか、どのような家づくりをしたいのかを家族で話し合って決めておくことが大切です。
